南三陸ミシン工房は、東日本大震災で被災した女性たちを支援するために2011年秋に生まれたました。
単なる物資支援にとどまらず、ミシンをお渡しするとともに縫製指導や販売のサポートをすることで、仕事につながったり、働くことで生きがいになってくれればとの思いからでした。
趣旨に賛同してくださった全国の方からの支援金を基に購入させていただいたミシンを希望者に配布し、仮設住宅でそれぞれが縫製するところからスタートしました。
各自の縫製技術、家庭での労働できる環境、時間・・・、なにもかもばらばらな中、お互いに支えあいながら励ましあって様々なことを乗り越えてきました。
2013年春にはNPO法人となり、念願の工房も完成。
ミシンも家庭用から職業用ミシンに切り替わり、現在は工業用ミシンも稼働しています。
環境も整い、縫製技術も相当にあがってきました。
現在は南三陸町と石巻市に住む6名の女性たちが参加しています。
スタート時はほぼ全員が自宅全流失のメンバーばかりでしたが、2015年には被災していない町内の方2名が加入しました。それでも、自宅は被災していなくても肉親を亡くしていたり、船を流されたりされています。
2017年中には自宅を失った被災メンバー全員が高台移転地に新居を構えることができ、新しい生活が始まっています。
震災の被害は津波や地震による物理的な被害だけでなく、さまざまな問題が被災した方々を襲いました。「あのときやっぱり死んでいればよかった」そんな言葉を口にする人もいました。
仕事をして笑顔になって「やっぱり生きていてよかったんだ」
そう思えるようになってくれればと願っています。
現在は、千葉市幕張と都内文京区の2つの中学校に於いて、家庭科被服実習の材料に当工房の布製品が選ばれ生徒の皆さんがミシンで南三陸ミシン工房のトートやポーチを製作する授業が行われています。
ミシンに向かう前に学校にお邪魔して生徒さんに東日本大震災のこと、南三陸ミシン工房のこと、南三陸町で今を生きる人々のことを伝えています。そして災害大国日本で私たちはどう暮らしていくか、生きる意味、勉強する意味とななにかをお話をさせて頂いています。
若い世代に、私たちが見たこと、経験したことを伝えていくのは大切な使命だと思っています。
南三陸ミシン工房
代表理事 熊谷安利
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